圓楽さん流の「生で演る理由」

100分de名著 風姿花伝 第3回「離見の見」

NHKEテレ 東京
2014/01/22 23:00:00
(00:25:00)

 

能には「序破急」というリズムはあるけれど、世阿弥は必要があればその流れを壊してもよいという。

「かるがると機を持ちて」の説明で、客に合わせて演じ分けるということを伊集院光さんが落語を例に説明して、とても面白かった。

伊集院光さん)
古典落語をやってる時に 
落語は今どき CDでも あるわけだし レコードなんか前からあるわけで
生でやる理由って 何ですかねと 師匠の 今の圓楽に聞いたら
僕用に分かりやすくは話してくれたんですけどね

与太郎の小咄』というのがあって いつも 鼻 たらしてるから『鼻かめ』って言うわけですよ。
そうすると 与太郎は『ちり紙がもったいない』と言うの。
そうすると 隠居は
『お前 いつもそんな事ばっか 言ってるから もったいなくないように言ったろ?』って。
『鼻 かんだら 乾かしといて 後で 便所で使えばいいって言ったろ』と言うの。

このあとの与太郎の言葉が『やったけど 間違えた』。」

武内陶子さん)
「『やったけど間違えた』?」

(伊集院さん)
「…と言うのね。これだけで笑う時にはこれでいいの。
『やったけど 間違えた』でお客さんが あまり来ない 乗ってない場合は
『何を?』『順番』まで言うの。
その順番で 笑いが来なければ『汚いな! お前は!』というとこまでテンション上げて 言えと。
この臨機応変ができるのが ライブだと。要するに お客さん次第なの。
決まったオチじゃない 何段階か持ってろ。トーンも落ちも 何段階かある
こういう話があって 今日は勘がいい すごくいいお客さんだという時には
どんどん 粋に 手前で 畳んでいっていいという
その臨機応変さが まさに この 言ってる事なんですね。」

他の芸術、芸能でもこういう臨機応変ができるのだろうか。

確か岩城宏之さんがウィーン・フィルで、楽団員から、
"昨日の演奏はとても良かった。でも今日は雨だから、少しテンポを落としてはどうか"
と言われたことがあるそうだ。

先日、録音演奏によるミュージカルを見たが、こういう場合はかなり臨機応変の幅は狭くならざるを得ないだろうな。