しつこい痛みは「日記」で治る(笠原諭)
p23
体には疼痛抑制機構があり、「楽しいこと」「夢中になれること」をやると、交感神経と副交感神経のバランスがとれて自律神経が安定する。そうすると痛み伝達神経のゲートが閉じて痛み情報の伝達が制限される。
p51
強いストレスは、痛み信号を伝わりやすくしてしまう。
そのストレスを取り除くために、自分の行動を見つめ直すのが「痛み解消日記」。
p54
書くことは「日付」「出来事」(客観的に)「感情」「行動」
p60
2週間たったら振り返りを行う。
「感情」と「行動」のギャップがないか(例:「ムカついた」のに「謝った」)
ギャップがストレスになる。
自分の感情と行動のギャップに気づいて、次はどうしよう、という「チャレンジ」を書く。
これまでと違ったことを試してみる。
振り返りをすることで、自分の望む行動が見えてくる。
いい方向に行動できたときは花丸をつけてほめてあげる。
こういうのを「オペラント学習」という。
p68
自分の知らない自分の中核信念「スキーマ」を知る。
中核信念(自分は価値のない人間だ)がルール「人に弱みは見せられない」になっている。
そこでルール「人に弱みは見せられない」に反する行動をとってみる。身近な人から状況を話す(段階的暴露療法)。
p74
3つのステップ
1.考え方や行動のパターンを知る(感情と行動のギャップに気づく)。
2.ギャップから、自分が回避していることを知る(行動のルールを見つける)。
3.ルールに反する行動をしてみる。
回避しているものは何かを探ることが、痛みの治療にとって重要。
他人との衝突を回避していると、その場は良いが、ストレスを溜め込んで、痛みになる。
p76
痛みで何もできないときも「激痛で何もできない」「日記も書けない」だけでも書いておく。
痛みが出るのは、どういうときか、誰と一緒にいるときか、どんな状況が苦手か見えてくる。
p80
60秒以内にメリットかデメリットがあるとき、行動は変わる。
ダイエットで甘いものを控える→ご褒美の印をカレンダーにつける。
p82
トークンエコノミー法
小さな達成感とごほうび……10回運動したら1回ステーキを食べに行く
p93
先行刺激
夕食を食べたら日記をつける
寝る前に日記をつける
日記をつけたら500円貯金する(逆に返してもらうでもよい)
p97、p116
バーンズ博士「いやな気分よ、さようなら」(星和書店)
”認知のゆがみ"10パターンと対処法
1.全か無か
目標を小分けにする
プロセスも重要と考える
60点を目標にする
2.一般化のしすぎ
1日の仕事のうち失敗が30分、としたら残りの7時間30分は失敗ではない
3.心のフィルター
自分の長所、プラス面を意識する
4.マイナス化思考(できても「たまたま」「これくらい当たり前」と考える)
朝起きたら散歩に行く、食事をしたらストレッチをする
カレンダーに○をつける
5.結論への飛躍(先読みしすぎ)
逆の立場で考える
友達に相談する
「迷惑をかけるかもしれないけど行ってもよいか」と聞く
6.過大解釈、過小評価(自分だけが苦しい)
ほめられたことを日記に書く
7.感情的決めつけ(痛いから動けるわけない)
8.「べき」思考
悪い習慣をやめるために、実行できそうな目標から挑戦する。
9.レッテル貼り
ダメ人間
→なぜダメ人間なのか
→休職しているから
→復職に向けた方策を練る
10.非難(自分へ/医者へ)
他人を非難する
メリット15点(スッキリする)
デメリット85点(関係が悪くなる、自分が疲れる)
メンタルではない、と思う患者のほうが、ストレスの把握が苦手であることが多い。
p104
認知のゆがみ≒熱
中核信念(スキーマ)≒病気
この中核信念(スキーマ)を行動によって崩してしまう。
p106
中核信念(スキーマ)=私は価値のない人間だ
ルール=「人に弱みは見せられない」
うまくいっているうちはよいが、うまくいかなくなると中核信念が出てくる=私はダメだ
認知のゆがみ=べき思考、全か無か
完璧にやらなくても恐れていたようなことは起こらない
p110
下向き矢印法
「なぜ」を繰り返す方法に近い?
p113
日記からルールを見つける
「○○すべきだ」「○○しなければならない」
「もし○○(事実)だったら、○○(否定的な捉え方)だ」
「○○するなんてとんでもない」
p126
痛みをこじらせる人は、自己主張できない人が多い
Cさんの例
中核信念(スキーマ)=私は人に迷惑をかける存在だ
「自分の意見を言わない」
謝るという回避行動はむしろ逆効果のこともある
p140
相手の立場に配慮しながら、自分の気持ちをきちんと言葉で伝えることが重要
(アサーティブ)
p144
「アイ・メッセージ」
×どうしてあなたはやってくれないの?
×やるといったのはあなたじゃないの?
×約束を守らないあなたはルーズだ
○私は約束を楽しみにしていたので残念だ
○あなたがやってくれると私はうれしい
○約束を守ってくれると私は助かる
p153
Fさん(50代女性・線維筋痛症)
行動
娘に「仕事がんばってね」
夫に「私に代わって家事をやってくれて助かる」
思い
娘が就いた職業が気に入らない
夫の帰りが遅いことが気に入らない、娘の就職を翻意させないのが気に入らない
問題の根っこを隠している
p154
痛みと罪悪感の奇妙な関係
患者:痛みを訴えることで罪悪感を免れる
家族:サポートをすることで罪悪感を免れる
p158
なくしてしまえ、と脳が命令すると、かえって考える頻度が上がる。
痛みをなくすことを目標にするのは逆効果
p160
新幹線で他の乗客がうるさい→受け入れると自分の仕事ができる
アクセプタンス(ウィリングネス)
「ACTのためのワークブック」(星和書店)
嫌な来客を欲することはできなくても、歓迎することはできる。痛みも同じ。
p165
言葉の呪縛から自由になる方法
1.宣言する(コミットメント)
「毎日ウォーキングをする」
「家族に対する回避行動をやめる」
2.ネガティブワードのちからを弱める
「痛い」→「『痛い』と私は考えた」客観化
「ダメ人間だ」→「ダメニンゲンダメニンゲンダメニンゲン……」音の集まり化
(20秒から45秒で効果あり)
p177
解決できること(生活習慣)とできないこと(痛みや憂鬱な気分)を分けて考える