栞:「日本スゴイ」のディストピア(早川タダノリ)
この時期にも「参議院」という言葉があったんだ。
p80(「決戰體力の目標」)
検定の基準はというと、例えば男子ではーー
百米走 十四秒以内(上級)(中略)
手榴弾投げ 四十五米以上(上級)
手榴弾投げって……。
p80(「決戰體力の目標」)
彼(柳澤利喜雄)は一九三八年(昭和十三年)から日本人の出生率が急激に低下していることについて危機感をあらわにしてこう述べている。
p136
一九四一年(昭和十六年)十二月に国民勤労報国協力令が施行され、十四歳以上二十五歳未満の「未婚」女性に、年間三十日以内の勤労奉仕が義務付けられる。
昔も今も女は大変。産めよ、働けよ、と。
p85
「子供のうちから翼賛選挙実習」
奈良市立済美国民学校では時局に応じて一歩を進め、翼賛級長選挙を行って大きな効果を上げています。この選挙では先生が推薦候補者五名を出して学童にそれぞれ級長、副級長に当選させるという仕組みで朗らかな学園新体制を確立しています。
残り三名かわいそう
p93(「女性非常時読本」)
我が国では一般に、桃の節句、端午の節句等には各家庭で餅をついたり、馳走をしたりしてお祝ひする風習になつて居ります。然るに国家の祝祭日たる四大節や八祭日には正月の四方拝を除くの外、家庭では何らの行事をもなさないのが普通の状態であります。これは国民として本末転倒して居るのではありますまいか。
日本の伝統ってなんだろう?
p122-123(「写真週報」第51号)
混雑を
二倍に揉み合ふ
我れ勝ち組
車内に持ちこんでよい荷物の大きさは網棚にのせられるか又は腰掛の下に入れられる程度のものに限られてゐます。こんな大きいトランクなどは勿論チエッキで托送すべきです
チエッキ(チッキ)って、専用の荷物車を連結したのかなぁ?
p141(「働く女性の力」)
心の隙をつくるな
(前略)一時よく電車の中などで、若い女性にいたづら(原文は傍点、以下同様)をする男がありました。(中略)さういふ下劣きはまるいたづらをする男子には、大いに反省を促さねばならないと思ひますが、また、一面、さういふいたづらをされる女性にも、それだけの手落がなかつたとはいへないでせうか。(略)如何に身動きのならぬ満員電車の中であらうとも、そのやうないたづらをされるのは、やはり女性の方にもそれだけの隙があつて、その隙につけこまれたのだと思ひます。
昔も今も変わらない……。