航空中央音楽隊創設60周年記念演奏会を聴いてきた。

航空中央音楽隊創設60周年記念演奏会を聴いてきた。

日時:2014年6月28日(土) 18時30分開演(第2回公演)
場所:すみだトリフォニーホール

 雨だが、屋根の下で入場待機列が作れるのはありがたい。

入場無料だが、ハガキによる事前応募・抽選制である。つまり私の個人情報は防衛省に把握されたw
入場の際は手荷物検査と金属探知機によるチェックがあった。

空の護り(Sheltering Sky, J.マッキー)

原題は「シェルタリング・スカイ」。

同名の映画があるが、特にそれとは関係ない模様。ちなみに映画の方の音楽は坂本龍一氏の担当で、ゴールデングローブ賞受賞らしいので、今度聞いてみようと思う。

曲は終始穏やかで、オーボエの澄んだ音色とトランペットの柔らかな音が印象的だった。

祝祭(Celebration, P.スパーク)

オリエント急行」「ドラゴンの年」「ハーレクイン(ユーフォニアム独奏曲)」などで有名なスパークの曲ということで楽しみにしていた。期待通りのスパーク節を、厳選された編成の音楽隊が見事に演奏した。

これ以上吹くと崩れる、というギリギリのところで荒ぶるホルンの音が、吹奏楽サウンドのホルンで、とても気に入った。

トランペットは途中で舞台裏で演奏するのだが、舞台裏から聞こえるフレーズとしては相当難易度が高く、スパーク先生鬼だ……と思った。

パーカッションは、上手からひな壇にかけてかぎかっこの“「”字状に配置されていたが、上手手前に「パチン」と打ち合わせる楽器(名前が分からない……スラップスティック?)、上手奥にタンバリン、上手中央にスネアと、結構離れているのに終始揺るぎないリズムを刻んでいて安心して聴けた。

休憩中のプレ・トーク

ロビーでも放送で流れたのは、カフェで休憩中の身にはありがたかった。

1部はウィンド・オーケストラ編成、2部は大編成のシンフォニック・バンド編成とのことだった。

行進曲「ブルー・インパルス」(March "Blue Impulse", 斎藤高順)

これも期待していた曲。上手に吹くととてもカッコイイ。
曲目紹介で、1964年の東京オリンピック、そして先日の国立競技場での編隊飛行の話があった。「F-86F」「T-4」とちゃんと紹介するあたり、ニヤッとしてしまった。

演奏は文句なかったが、特にトリオのサックスが美しかった。そしてドラムセット!どこまで譜面に書いてあって、どこまでアドリブなんだろう。普通の曲ならアドリブだろうと思うのだが、なにしろ斎藤高順「航空中央音楽隊第4代隊長」の作である。一音一音忠実に……なんてことも???

自分のパートになると指が動いてしまった。

碧空(Au Ciels Bleu, 服部隆之

服部克久氏の息子の服部隆之氏の曲。「機動戦艦ナデシコ」「半沢直樹」「ルーズヴェルト・ゲーム」など劇伴の分野を中心に活躍されている方が、航空自衛隊50周年(つまり10年前の2004年)に委嘱により作曲したもの。

トゥッティの音圧と、それに負けないツインスネアドラム。迫力のある曲だった。

風薫る(Balmy Breeze in the Sky, 航空中央音楽隊 空士長 田中裕香)

この曲は、航空自衛隊60周年記念で募集した作品の中から選ばれた、コンサート・マーチ。
東京藝術大学トロンボーン専攻で首席で卒業、入隊1年3ヵ月の田中裕香さんの曲。
コンサート・マーチとして聴きやすい曲だった。

行進曲「蒼空」(March "Bright Sky", 航空中央音楽隊 2等空曹 和田信)

この曲も60周年記念。こちらは歩ける行進曲。
国立音楽大学卒のトランペット奏者で、北部航空音楽隊所属の和田信さんの曲。
トリオがEuphの旋律(対旋律ではなく)で始まるのが意外だった。
曲自体は弱起で始まり、装飾的な動きや音量差も多く、歩くのに向いているかどうか……

二人は曲目紹介でそれぞれマイクを握ったが、ちゃんと階級を名乗るのか、と思った。

一般の方で「○○会社課長の△△です」という機会はそんなにないと思う。

航空自衛官の16階級中、2等空曹は12番目、空士長は14番目である。ちなみに航空中央音楽隊長で指揮の水科克夫さんは2等空佐、4番目である。

大空への挑戦(To Tame The Perilous Skies, D.ホルジンガー)

「春になって、王達が戦いに出るに及んで」を知っていたので、期待していた。
複雑な拍子の曲で、非常に難易度が高い。「危険な空でぶつかり合う2つの対立した力を表現」とあるが、まさにそんな感じだった。

アメリカ軍のことは全く知らないのだが、第564戦略空軍司令部軍楽隊の委嘱による作曲と聞いて「564」という数に驚いた。

ふるさと

アンコール1曲目は「一旦地上に降りて(水科克夫さん)」ふるさと。
穏やかな始まりから壮大な終結に至る。誰のアレンジだろう?
ここで、楽団のメンバー紹介が行われたが、北部、中部、西武、南西の各音楽隊からのメンバーが想像以上に多くて驚いた。

星に願いを

アンコール2曲目は空に戻って。
トランペットソロが印象的だった。

空の精鋭(航空自衛隊行進曲)

おそらく音楽会最後の曲として定番になっているのだろう、公式の行進曲。
手拍子とともに、気持よく演奏会を終えることができた。

やや大きなシンフォニック・バンド編成になった第2部だが、野暮ったく分厚くなることはなく、高いレベルの合奏による心地よいサウンドが維持されていた。木管の弱奏の際に一瞬、弦?と思うような、ふわりとした音が鳴った瞬間があった。

この日の空は荒れ模様だったが、ホールの中は澄んだ、濁りのない吹奏楽サウンドで満たされていた(すみだ、だけに)。

思ったこと

  • 昼の部、夜の部のメンバーは同じだったのだろうか。もしそうなら、私の聞いた夜の部のメンバーの体力に脱帽。
  • 少し前に「題名のない音楽会」でシエナ・市音・佼成の合同演奏会の放送があり、締めはシエナ恒例「星条旗よ永遠なれ」客席も含めての合同演奏だった。できれば他国の曲ではなく、自国の曲でやりたいなぁと思うが、軍艦マーチというわけにもいくまい。今日3曲の更新曲を聞いたが「スーザは偉大だなぁ」と改めて思った。親しみやすいメロディーとメリハリの効いた構成のマーチはないものか(私が吹奏楽コンクールの課題曲でこの意味で最も好きなのは「サンライズ・マーチ」(1982年版)だ。但しダ・カーポは冗長だと思うが)。
  • どの曲間かわからないが、スクランブル発進の話をしていた。
  • 一部の客の拍手が早過ぎる。特に、まだ吹き終わっていないのにスタンド・プレイの拍手をするのはどうかと(航空だけに、フライング?)。
  • パンフレットの表紙が西暦表記のみだった。細かいことだが。本文は元号
  • 舞台上手、下手に置かれていた機材はなんだろう……
  • すみだトリフォニーホールのバーコーナー「北斎カフェ」はいい感じだったが、あまり客がおらず、店員が手持ち無沙汰にしていた。コンサートホールのバーコーナーの営業ってどういう形態、契約なんだろう。明らかに独立採算は無理だよね……